今どき結婚する理由

 日本人の引きこもりの8割は男性、それも20代から30代が多い。彼らは一様に昔ながらの保守的な規範意識に縛られた真面目な青年が多いと、放送大学の宮本教授はいう。昔ながらの規範、とりわけ結婚制度にまつわるものとして、男は一家を支える大黒柱として、妻子を養わねばならない。いい結婚とは、大企業の正社員と専業主婦に子どもふたりの持ち家が幸せ、などだ。
 そういう古い規範意識に縛られた真面目な男性が引きこもる理由は単純だ。そんなの無理だから。そんなの無理だ、自分はダメだと思ってしまう。それで社会から辞退(待避)する。そんなの無理だって思うのは、何も引きこもる真面目な男性たちだけじゃない。マジ、無理だって。特に原発ドカーンの311のあとは特に。ほとんどの若い日本人は、昔みたいな結婚生活なんてあり得ないって少しずつ気が付いている。
 だってそうでしょう?
 今時の日本社会で、一家を支える大黒柱のような男は、グローバル経済によって1997年頃、完全に殲滅(せんめつ=ことごとく抹消されること)させられた。限りなく少ない数で正社員として大企業で生き残ったとしても、同じ柱は柱でもそれは企業に人生のすべてを捧げる「御柱」すなわち生け贄として消耗されることになっている。
 また、専業主婦という身分は今時あり得ない。そもそも男女ともに同じように進学して莫大な教育コストをかけられて成人し、めでたく職業生活を始めたとして、どういう合理的理由で生涯賃金一億円を単に子供が生まれたからとか、結婚したからなどということで放棄できるのだろうか。寿退社とはすなわち、一方的な権利の放棄以外の何者でもない。
 きわめて危険なのは、何か勘違いして(たとえばたまたま結婚時点で夫の収入と学歴が高かったなど)、会社を辞めてしまう選択を自らする女性。それで幸せが待っているなら、こんな世の中になってない。こんな世の中、すなわち世帯数は今や単身世帯が約半数、離婚率も半数、超スピード少子化、社会問題化するほど貧困な母子家庭の顕著な増加など。職業生活を、結婚(や子育て)を理由に放棄する女性はきわめて不合理で、不平等な選択を、今や有名無実の古い規範のみによって仕向けられているという、オカルトのような、それは選択だ。女性が専業主婦ができるような昔風の婚姻観を、おもに母親から植え付けられている限り、その女性は一生結婚できない。またそういう母親こそが、引きこもりの男子をつくるまさに原因そのものだと、宮本教授は指摘する。
 では、現代において結婚する理由とは何か。それは単にふたりでやる方が楽しいことを楽しむため、とでもいっておこうか。ただし、結婚生活においてそうした機会を見つけたり作り出すのは容易ではない。結婚生活では、口に出すこともはばかられる構造化されていない作業や配慮、忍耐、苦痛の連続である。たとえば、家事が単調でつまらないけれども笑いながら喜んでやる、どんなに遅く帰宅しても相手に愛のこもったメッセージを送ったりキスをする、相手が自由に過ごしだした場合はよく話し合って婚姻関係の継続について合意を見いだす努力をする、見苦しく太らないためにジャンクフードを我慢する、禁煙し、パチンコや競馬、テレビゲームをやめる、といったこと。
 子供を産む理由も、子供が生まれたらそれを育てること自体を日々、目的的に楽しむ、子育てに徹底的にコミットすることを通じて、精神を鍛える、そういう、ストイックなトレーニング修行として、いかがだろうか、子ひとり2千万円のお買い物。
 なお私が日常、もっともテンションが下がる光景とは、近所のドラッグストアでよくみかけるのだが、大量のカップめんと清涼飲料水(糖分満載)を買う、ノーメイクの、激太りした若いお母さんの姿だ。たいてい、子どもを連れている。あと、小学校の運動会でも、およそ3割程度のお母さんが小太りになってる。太っていく経産女性というのはもう本当に、国の品性が危機に陥っている証以外の何者でもないと、思う。
 というのも、アメリカでは、貧困層のほうが圧倒的に太っていると、堤美佳の本か何かで読んだことがある。心も財布も貧しいのならば、安いジャンクフードしか食えないし、ストレスで食べたいだけ食べてしまう。日本もまた、そういう事態がどういうわけかお母さんのあいだで進行している気がする。暗い気分になる。
 ちなみに私は、ファイナンシャルプランナーです。

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