犯罪防止の処方箋は中絶

『ヤバい経済学』を読んで書いてあったことのうち最も私の心を打ったのは、アメリカの犯罪が90年台に突然減少を始めた理由である。

理由のうち、警察の取組みやら刑務所への収容人数やら、細かな要因はいくつかあった。しかし、最大の理由は次のようなことである。

1970年代に人工妊娠中絶が全米で合法化された。その結果、貧困層やマイノリティーの女性たちは望まない妊娠を途中でキャンセルするようになる。成人したときに犯罪を起こすであろう子供が、この世に誕生することは劇的に減少した。90年代の犯罪率の減少はまさしくデータがそのことを裏付けている。

私はこれを読んで、まったくあまりにもあけすけな現実に驚きを禁じ得なかった。子供が4人もいるので、周囲の子供の様子について色々と情報は入ってくる。それに、実際子どもと付き合いのある他人の子供を観察する機会にも恵まれている。

ピンカーの研究を紐解くまでもなく、知的・財産的に恵まれない家庭に育った子供は、ほどんど何をやっても無駄な場合が多い。多数の教育関連書籍、ドリル、自己啓発本、公文(!)、セミナーやカウンセリング、セラピー、そういうことは、相対的貧困家庭における子供の学習サポートに短期的には効果が上がることがわかっている。

しかし、そうした子供を成人するまで、支援し続けることは不可能である。勉強しない子供に勉強させるには、ほとんど24時間一緒に寝食をともにし、常にフォローしていないといけない。そうしたコストを親以外、つまり政府や公共部門が負担することに成功しているのは、消費税や所得税が日本と比べ物にならないほど高い北欧やヨーロッパの幾つかの国だけにすぎない。例えば、オランダ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンといった、高福祉のおなじみの国々だ。

犯罪を減らすには犯罪者を産まない、産ませないというのが最大の解決策ということである。

人口妊娠中絶-犯罪率の謎
──1973年合法化と1990年代の犯罪発生率低下との驚くべき関連──

カレン・ブランドン(トリビュン、スタッフライター)

『シカゴトリビューン』1999年8月8日(日)

訳:宮里艶子

 犯罪率低下の原因を研究しているアメリカの2人の学者が、過去10年間の社会問題の一つに対し,挑発的研究結果をまとめた:70年代前半に法律公認化された中絶が90年代に入り数多くの犯罪低下を生じさせたようだと言う。両学者の研究内容は、すでに経済学者及び刑法専門家の間に流通された。(もし生きていれば)犯罪を犯す時期のもっとも多い若い年代層が――10代の母に産まれるはずであろういらない子供達、貧しいマイノリテイー女性――20年前に過度な率で(人工)中絶された。
 シカゴ大学経済学者のステイーブン・レヴィッツ、及びスタンフォード法科大学教授のジョン・ドノヒュー三世、が纏めたところによると、1991年から1997年間のアメリカ全体の犯罪のおおよそ半分が合法中絶に帰結するだろうと述べる。
 合法中絶は,「母になるだろう女性たちは,冷酷な社会の中で生きていかなければならないその状態から避けさせる機会を,自分達の子供達に与えた。(人工)中絶された子供達は,(もしも生きていれば)母親の愛情は受けずに、厳しい貧困の中で、冷酷な社会の中で生きていかなければならないのである」という調査結果を立証するとレヴィッツは言う。
 トリビューンの受け取ったこの論文報告、「合法化中絶及び犯罪」は、学界にはまだ出版提出はされてない。この調査はハーバード大学、シカゴ大学及びスタンフォーダ大学の3大学で学術ワークショップ科目での研究実施結果がもととなっている。
 両学者は,この調査結果は中絶支持を制定するのではないと強調し、研究は犯罪低下の決め手となった影響力が何であるのかと、原因追求の動機づきから始まったのである。それよりも,犯罪低下の理由の研究が、犯罪低下などと不当功績名な効果的でないプログラムや方法に公共浪費をするのは望ましくないと思うと,言う。
 調査結果は(人工)中絶が社会効果に有益であると提案している、またはある特定のグループの(人工)中絶を促していると攻撃されるかもしれない声、そのような反対の声があるのは認めるが,両学者は,この調査結果を自分達の信ずる考えとして主張するわけではないと,はっきり言いきる。
 レヴィッツは彼の研究結果は、「誰も気にいってくれる者はいないだろう」という可能性も自認する。
 しかしながら、「真実を嫌がる者がいるからと、真実を隠すことは、私たち経済学者や科学者のすることではない。ただ自分は、社会政策が(我々に)どのような影響を与えるかということを知ることは、大切だと思う」と続けて述べる。
 このレポートを読んだ一人、カリフォルニア大学の経済/法学部、リチャード・アーラン学者は「以外な結果の説得力あるケース」と言う。
 第7シカゴ地方裁判所、リチャード・ポズナー裁判長官は、「ひときわ目立つ、今までにない、厳しいそして説得力のあるーー決定的ではないがーー常識的ポイントである,いらない子供達はより良き市民にはなれないという論証である」と言う。
 ヴァージニア大学の法学部、法律学者のジョン・モナハンも、これまでに例にない挑発的な学術調査であるという。
 「彼らの論文はあまりにも挑発的、独創的なので、始めは読んでいてめんくらってしまった」そして,「調査結果の説明の後、それにしても、途中で政治的ほのめかしの方向へ変え,読み進んでいくのに気がつき,さらにプローチョイスをくやしがらせるのか,それともプロライフ側の論争なのか、いくぶん転倒するところがあった」とつけ加えた。
 45頁にわたる彼らの分析は、次の詳細にある:
 1990年代の犯罪低下は時期的に,1973年の出来事を目印とするRoe vs. Wade(ロー対ウエイド)に対する連邦最高裁判判決、アメリカ全州にゆきわたる合法中絶が実施開始された頃の20年前と一致する。故に、もしも中絶が実施されなければ犯罪年代の絶頂に達していたであろう、おおよそ18歳から24歳の子供達がこの時代に生きていたであろう。
 最高裁判判決3年前から合法中絶を実施していた五つの州では、他の州が犯罪低下を経験する以前から暴行罪、殺人罪等の犯罪低下状況は経験している。
 1970年代中絶率が高かった州は、犯罪の影響力でもある,収入、人種構成、投獄レベルなどの面でも1990年代には著しい変化を見せた。
 Roe vs. Wade (ロー対ワーデ)に続き、始め3年間中絶率の高かった州またはマルチ州(multi-state)地域は後に著しい犯罪低下状況を展開した。
 伴って中絶率の低い州に比べ、中絶率の高い州の犯罪が15%低下した。調査した年で,更に,両氏は,10%毎中絶が増加する州では年1%の犯罪が低下していることがわかった。
 (人工)中絶が犯罪発生件数の高絶頂の若い年代層の男子低出生に結びつき,犯罪低下調査で予期してなかった以外な要因が現われた。
 (人工)中絶を選択した女性達は,若い年代に集中し,犯罪を犯す割合の高い子供を産む女性達である,と両学者は研究調査を纏める。女性たちは10代の女性達で、マイノリテイー、及び貧しい――いわば他の全女性人口と比較し,中絶率の高いグループに属する女性達である。
 「出生を送らせた女性たち(中絶という形で)は引き続き,子供を多く産む傾向にあるし、合法中絶はまだ犯罪低下に影響を与えている」と両学者は言う。「このことは、中絶を行う女性が単に犯罪低下に結びつくという事を言っているのではない。。。、女性たちは犯罪性低下のタイミングを出生により選択できる,ということを言っているのである。」
 これに関連させて、論文は国の公認を必要とするヨーロッパ諸国で実施された長期にわたる女性の研究にも触れている。
 西ヨーロッパおよびスカンジナヴィアでの調査では、(人工)中絶依頼を拒絶された母親に産まれた子供達は、収入、年齢、教育及び健康などのほかの要因影響をみても、かなりの子供達が犯罪を犯すか、貧困生活状態に陥るかがわかった。殆どの女性が子供達をアダプションには出さずに自分で子供を育てた、しかしいらない子供達を産んだことに後悔している女性も少なくないではない。他の女性達に比べ、いらない子供を産んだ女性達は,子供を養育したり、抱いたり、母乳を与えたりすることは少ない。
 「この文献はいらない子供達はかなり不釣り合いで犯罪行動に入ることを強く立証する」とドナヒューとレヴィッツは語る。
 中絶と犯罪の関連性を何年も前から考えるようになったのは、あまりにも高い中絶率に転倒したからだと両学者は言う。
 約1/4の妊娠がアメリカでは(人工)中絶に繋がる、工産業国家の中ではかなりの高い率であると、ニューヨークにある生殖問題及び女性による生殖選択宣言の問題研究をしている組織のアラン・ガットマックナー氏は言う。
 3人のうち1人の割合の(人工)中絶最高を記録した1980年以来、この20年間,(人工)中絶は低下し最低の現在まで至る。それは10代年層の女性の故意の妊娠率が減少した理由にもあり、特に10代年層の女性による避妊薬使用にもよると、グットマクナー研究所の最新調査は指摘する。
 (人工)中絶が合意された1973年以来、3千4百万件以上の合意中絶が実施された、その中の1千8百万件が1070年代に実施されている。1996年には、最新統計で得た情報によれば、1千3百7十万件の合意中絶が実施されたという。
 「中絶が出生にあまりにも大きく関連していることにびっくりした、」と言い,ドナヒューは続ける。「これ程にも数字が大きいということは、何か大きな原因や影響がある筈だと思った。」
 グットマクナー研究所によると、あるグループの女性達の中絶は,全女性出産適齢期人口の約二倍にある。その一定の女性達とは25歳以下の、別居した、結婚経歴無しの、貧しく、そしてマイノリテイーの女性達ことのである。
 全(人工)中絶の60%は白人女性が占めているものの、黒人とヒスパニック(ラテンアメリカ系)女性の中絶率はそれ以上に高い。黒人女性は白人女性に比べ3倍、そしてヒスパニック女性は2倍中絶を経験する傾向にあることが、研究所の調査で分かった。
 ドナヒューはこの類をあまり重要視はしない。「この問題は人種の話ではないと思う。恵まれない状況の下で生まれた人達の,人種問題以外のもっと他の、ほったらかし、虐待、犯罪心を刺激するなにか,付きまとう怒り等、多々の要因があると思う。」
 研究所のアンケートによると、妊娠の約半分が予期せぬことであり、そしてその半分が中絶に終わる。研究所のアンケートは女性に対し、少なくとも三つの中絶選択理由を差し出した:アンケートに参加した2/3の女性が子供を持つということが仕事と干渉する、学校または他に責任を有することがある:2/3の女性は子供を育てる余裕がない:半分が母子家庭には入りたくない、または,夫または自分の相手と問題を起こしたくないと答えた。
 「いらない子供であるということと,生活に問題があるということの,相関的な考えは別に驚くような新しい発見でもない、」とグットマクナー公共政策部/副所長コーリー・リチャードは言う。
 にもかかわらず、縦横に批評する前に、この論文の調査をもう少し見直したいと彼は言い、そして、「この問題は中絶自体の問題だけではない。この調査から生じる論争は、強制なしの、女性が産みたくなくて産まないという論争である。そのことは女性だけではなく、子供、そして社会の為にも良くないことであるということを」指摘している。
 1990年代の「犯罪」不況と呼ばれる急速な犯罪低下は、これまでに激しく討論されてきた。可能性の高い「犯罪」不況原因として、監獄の使用が増加したこと、警察官が増えたこと、取り締まり作戦が改良されたこと、クラック・コカイン売買が減少したこと、健康な社会経済向上,更に警備員及び警報装置の使用が増加したことなどがあがる。
 「なんと大きな,謎につつまれた,難題だろうか?」ピッツバーグにあるカーネーギーメロン大学で犯罪学を研究する、ダニエル・ネギン公共政策学教授は言う。「他に納得のいく犯罪の低下の原因は聞いたことがない。」
 犯罪定理は、社会における貧困度合いまたは育児方法など、急速に変わらない要因に焦点を置く傾向にある。そのような説明は急激に変わる状態を説明するにはあまり好ましい調査方法ではない。
 カーネーギー・メロン大学のネギン学者とナショナル暴力研究団体デイレクターのアルフレッド・ブルムスタイン-氏はこの新しい研究分野の学者達はりっぱだ。「真剣でなければ,こういうことはやっていけることではない、」という。
 バージニア大学の法学部、モナハン学者は、この研究結果は感動的だという。、何故かというと、科学的な研究と(人工)中絶の価値観を離して論争が成されてある。「ドナヒューとリヴィッツは中絶について何ら言っているのではない」そして,「彼らは単に犯罪率に関係があったかどうかが知りたかったことだけのことだ。彼らの研究は目新しく、そしてその研究の中から,彼らは非常に印象的な新しい研究を産んでいる。」
 この課題の研究は、犯罪率低下の影響は色々で,場所によっても異なるので難しいとは思う。
 ドナヒューとレヴィッツはこの研究の結果がどちらかといえば推測的であることは認知する。「科学者達の要求する,関連性のある,一定の確実度を立証するのも困難なことであろう。」
 それにしても,「皆さんが私達の課題を真剣になってくれる程の十分な証拠は集積したとは思う,」と続ける。
 ワシントンDCにあるNational Right to life Committeeのデイレクター,デイヴィド・オステイーンは,論文を,一風変わった論文だと呼ぶ。
 「70年代に,産まれてもない子供たちを抹殺したことが,90年代で万引きを減少させたというのかね?」そして,「彼らの言う,産まれてもない子供殺しが,彼らのいう,何とかに影響するなどという説明を,社会の人口のかなりの,ナンパーセントかの人間が信ずるとは,自分にとってはまず考えられないことだ」との反論の声もある。
 The National Abortion Leagueの代表者(スポークスマン)は団体のメンバーの誰かが論文を学習するまではと,論文に対しての意見感想を断った。

 真相の手がかりは,いらない子供達にあった

 調査結果は,中絶支持を制定すのではないと2人の学者は強調する。
 犯罪低下の決め手となった影響力が何であるのかと,原因追求の動機づきから始まった。

    レヴイッツの写真 ドナヒューの写真
           (略)
   テリー・ハリス撮影 ジョージ・ニキテイン撮影

 「人の嫌がる研究課題かも知れない」とシカゴ大学の研究の動機づけはアメリカの中絶率にあったとステイーヴン・レヴィッツは言う。 リヴィッツ共著者,スタンフォード大学のジョン・ドナヒューは言う。
 「我々,皆が問題すべきことだと思う」とヴァジニア大学の法学教授ジョン・モナハンは言う。
 「まだ他に,恵まれない状況の下に産まれたきた人達を語る何かがある,」スタンフォード大学のジョン・ドナヒューは言う。

犯罪率の低下追跡

 スタンフォード大学のジョン・ドナヒュー三世とシカゴ大学のステイヴィン・レヴィッツ両教授は,45頁にわたる文書で1990年代の直実な犯罪率の低下状況を70年代始めの合法中絶に関連させた。1973年のロー対ワーデイの判決(Roe vs. Wade decision)以降,“貧しく,厳しい,そして愛情のない人生を送らせないために,”多くの女性が人工中絶を決定した。その結果として,ドナヒューとリヴィッツは,不均衡の‘発生するであろう’犯罪が発生しなかったと語る。

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