アメリカ大学の学費が法外に高い件


ウォール・ストリート・ジャーナル日本語web版に2013年5月20日に掲載された「2013年に大学を卒業する皆さん、君たちはだまされていた」(By BRETT ARENDS)によると、今年大学を卒業する若者のほとんどはだいたい300万円とか、400万円といった巨額の借金を抱えている。それは、ある陰謀によるものだという。

その陰謀は、金持ちたちが、「大学卒業→ホワイトカラーの仕事」というライフコース(キャリアパス)を「普通の一般市民」に奪われないように、結託して学費を高くしているというもの。メディアも結託し、学士号がないと、収入も低いしろくな仕事に就けないと喧伝し続けている。

その結果、この30年で、学費はなんと3倍になったという。記事の著者はいう。

「考えてみてほしい。君たちが学位を取得するために支払った学費は30年前の約3倍だ。インフレを考慮した実質ベースで、である。君たちが取得した学位が30年前の3倍の価値があるという保証はない」

なにしろ、そもそも大学の授業スタイルは、著者によればこんな感じだという。

「1週間に1時間、教員から個人指導を受け、あとは参考文献のリストを手に図書館に通い、1週間かけて小論文を1本書いた。このような教授法は実のところ、アリストテレスの時代からあまり変わらない。学生が教員のところにやってきて議論する。そして、教員は来週同じ時間に、と言って指導を終える」

工学系の学部ならまだしも、文系の学部生の学費が年間数百万かかり、その内容がこれだというのだからもはや詐欺だ。というか、教授から個人指導が得られるのならまだいい。以前から、数百人入る巨大教室で、豆粒のような教授の授業をモニターとスピーカーでかろうじて聴くというのが日本でも一般的な講義スタイル。こういう講義スタイルは変わらないのに、学費や入学金だけバカスカ、インフレ率も無視してあがり続けているというのである。
では、なぜ大学の学費が上がり続けるのか。それは著者によれば、豪華な施設を大学がバンバン建てまくるから金が足りないのと、組織の官僚化(確かに、新卒時に大学職員を受けたことがあるが、楽そうで休みが多く、給料は高かったなー、落ちたが)、あとは保守的な富裕層が、一般市民から自分たちが歩いてきたキャリアパスの「空席」をこれ以上奪われないように排他性を持たせているからだという。

もちろん、これは記事だから科学的な裏付けはない、仮説や推論の域を出ないかもしれない。しかし、学費が上がり続けているというのは事実だし、大学が建物をやたら立派に更新するのもよくある話である。

私は、今日たまたま娘の公立中学の夏服を受け取りに出かけた。制服の取次店は、地元の商店街にある、もはやこの仕事がなくなったら間違いなく潰れているはずの用品店で、メタボっぽく太った高齢のじいさんが応対した(うわーこのオッサンに処方されるメタボの薬とか、俺が払ってるんだろうな、いや正確には、私も負担している自治体の医療保険税がこういうのに使われているんだろうと、極太の指や顔を見て思い、吐き気を覚えた)。

形状記憶の半袖Yシャツが2枚、スカートとベストの合計4点で、約2万2千円もしたので驚いた。冬服も合わせると、7万近くなる。公立学校の制服に、7万もかかる。じつに許し難い。

まあ、だからといってユニクロみたいなファストファッションの商品を着ていくというのもなんだが。

私は、日本の大学の学費が猛烈に上がった結果、払えなくて、たとえば娘とかがホワイトカラーの仕事に就けず、スターバックスで時給850円で客に笑顔でコーヒーを差し出す仕事にしかつけないとしたら非常に残念だ。というか、そんな世の中はまずいと思う。

社会階層が固定化し、世代を超えて受け継がれる傾向が強まるというのは、だからダメだ。

憲法改正の件だけれども、上記のように特定の社会の層(金持ち層)が、別の層(残りの多数の中間層)に対して、自分たちの職業キャリアや学校教育機会の排他性を高めて、閉め出そうという、そういう動きを加速させる危険が、96条改正には、ある(だってそうでしょ、世襲ばかりが当選する国会議員がひょいひょい好きなように憲法を変えられるようになったら、私らに不利にやられるに決まっている)。

ちょっと、保護者のなかにも憲法の条文もろくに読まず、安いとか親が取っていたなどという理由だけで読売とか産経を読んで、憲法はやっぱり変えたほうがいいだのなんだのしたり顔で言う大馬鹿者がいる。結局、自分たちの子供は、将来のどこかの時点で、金持ちの洗練された資本主義のグループから仲間はずれにされる可能性を高めているだけなのに。

気をつけてもらいたいのは、考えの基準を、メディアだけから得てものをいうのはきわめて危険である。メディアというのは特権階級であり(高額給与、コネしか入れない入社選抜試験、電波行政に守られた排他的規制産業)、決して私ら中間層の味方ではないという点だ。

冒頭の記事に話を戻そう。ある「保守派」の作家が、公立の大学の学費を私立の学費と同じくらい高く引き上げるべきだというのを聞いた筆者は、こう続けた。

つまり、一般市民には入ってほしくないということだ。
 さて、陰謀に関わっている団体は他にもある。メディアだ。 
メディアは私利私欲から陰謀に加わっている。
 メディアで働く人の中には既に大学と産業界の複合体の中で仕事をしている人もいる。彼らは大学で教えるか、大学付属のメディア研究所やシンクタンクで楽な閑職に就いている。多くのジャーナリストには大学に雇われている友人や家族がいる。いつか大学の仕事に就きたいと思っているジャーナリストはさらに多い。 
メディアがジャーナリズム大学院の学位を巡って沈黙を貫いていることを考えてほしい。消えかけている技能を実践するための証明書を手に入れるために若者が3 万ドル以上の金をだまし取られているというのに。実際にジャーナリストとして仕事をしている人たちは大っぴらには言わないが、若者がいまだにジャーナリズムスクールに行こうとするなんて、常軌を逸しているし、ばかばかしいという意見で一致している。私はそんな話をしょっちゅう耳にしている。 
 しかし、公の場でそんなコメントにはなかなか出会えないだろう。なぜかと言えば、ジャーナリズムスクールの目的はもはや未来のジャーナリストを教育することではなく(そんなことがあったとしての話だが)、過去のジャーナリストを雇うことだからだ。次に解雇されそうなジャーナリストはみな、プランBの就職先としてジャーナリズムスクールを考えている。しかし、採用担当のジャーナリズムスクールの教授が、そうした就職応募者の最近の記事をグーグルで検索して、ジャーナリズムスクールをこき下ろした記事を見つけたら、就職は難しいだろう。そのときは、次の職場はスターバックスだ。
 先ほども言ったが、私の頭がおかしいと言ってくれ。被害妄想に取りつかれていると言えばいい。しかし、どんな仕事に就いても、10年後に私が(スターバックスで)カフェイン抜きのソイラテを差し出したら、10%のチップは忘れないでほしい。
笑えないオチというほかない。

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