ポジティブな言葉で隠蔽される若者の知的貧困と人権放棄

クローズアップ現代によると、ポジティブな言葉や人生の経験を人前で発表したり、大声で声を合わせて叫ぶイベントに、大勢の若者(例:居酒屋の店員など。居酒屋チェーン)が集まっているそうです。

「自分は昔はいじめられていたがこの会社に出会って、生きてきてよかったと思える」とか、給料袋に「君の明るい人生を、夢を、心から応援します!」などと書いてあるとかほとんど噴飯物でおよそ共感するにはあまりもちゃちいものばかりです。

出演していた社会学者・阿部真大は、「イベントで前向きで明るい言葉を叫んだところで、結局は若い労働者は現場の競争で分断される。サービス残業をさせられたら、残業代を請求したり、職場の仲間と労働組合を結成するなど、労働者としての自覚を持って連帯することがまず重要」と一蹴。

大きな声を出して気分が良くなり、勇気をもらった、元気をもらったなどといっておしまい、また厳しい労働現場に戻り、労働者としての権利の請求はしないままの若者。これでは、麻薬で朦朧として仕事しているようなもので、自分の人権を放棄しているといっていい。

数年前に、マクドナルドのCEOだった原田氏が、クルーといわれる社員や非正規の現業労働者を集めて、大きなホールを借り切って、コンサートやコンクールのようなものを開催していると何かのメディアで読みました。このイベントに参加する大勢の若者(とくに飲食サービス業や感情労働、営業)はアイデンティティややりがいをこのイベントに見いだして、マクドナルドという会社に心酔するようになり、細かいことをいわずがむしゃらに働くようになります。

同じく、出演していた小田嶋隆氏が述べていましたが、こうした明るい言葉、一見希望にあふれ、人生に励ましと勇気を与えてくれる言葉を、経営者や行政が使い出したら注意しなければなりません。

たとえば国が「美しいニッポンを取り戻そう」と言ったら、5W1Hで逆に質問することが肝心。

「何が美しかったのか?」「どう、取り戻すのか?」「何を取り戻すのか?」「いつ、取り戻すのか?」

確かに、「美しいニッポンを取り戻す」だけでは、いったい何がどう取り戻されるのかもわかりませんし、戻ってきてほしいニッポンの美しさというのも不明のまま。納税者として、税がどのように使われるのかが、要するに美辞麗句で隠蔽され、わからないままにされているこれは事態であり、全くもって看過できません。

労働や権利に関する教育を軽視またはまったくやらず、単に「国を愛する心」を涵養するなどと、意味も中身もまったく不明なものを指導要領に恥ずかしげもなく垂れ流す国に対し、私たちは厳しい監視の目を向け続けないと大変です。

寄る辺のない、教育機会にも恵まれなかった若者たちが大きな物語に包摂されたがるのは洋の東西を問わず、社会性を帯びる動物たる人間の本性です。しかしそこにつけ込んで、大企業や国家が、権利意識を見えにくくして、都合がいいロボットのように若者を洗脳することは断じて許されません。

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