2017年4月20日木曜日

女子高生とドキュメンタリーを見て思う

子ども(高校生)にNHK BSでやっていたドキュメンタリーワーク・ラブ・バランスを見せてみた。日本人ワーキングウーマン「マイコ」さん(37歳)は理系大学卒業後大手銀行に勤めた。子どもを二人産んで育休を二度取った。職場へは片道1時間半かかるから、朝は6時半にみんなで朝ご飯を食べ、子供は保育園や学童にあずける。5時の定時に退社しても、保育園に迎えに行けるのはギリギリ、夜7時前となる。そのあと休む間もなく夕食の準備、子どもの世話など。夫は10時過ぎに帰宅する。

海外のドキュメンタリー番組なので、解説はこうなる。「日本ではこうしたことはめずらしくない」

マイコは、14年勤めて、二度の育休と、残業をほとんどしなかった結果、同期に比べて出世しなくなった。彼女はいう。「競争だから残業できる男性社員のほうが出世するんだなー。暗黙の了解でそうなってる」あきらめの境地だ。

娘の感想はこうだ。「かわいそー」

私の感想は「職場の近くに引っ越せばいいのに」

まあいずれにしても、これじゃ子どもなんてひとりふたりが精一杯だ。正直、うんざりだろう。つまり少子化は構造的に強固に社会に埋め込まれている。

安倍総理は「女性活躍社会」とかいう。確かに今日、幼稚園の保護者会に行ってみて驚いたが、平日の昼過ぎで、女性しかいない(ママしかいない、パパはいないという意味)。子育て育児も、結構たいへんである。夫は外で長時間労働、ママは地域で子育て育児。

一方、マイコのような共働きの正社員女性もまったく見ているだけで疲弊してしまう。

主婦も、キャリア女性も、両方ともめいっぱいになっている。いや、もう無理だ、活躍なんてこれ以上どうしろと?

私は保護者会に行って、帰ってきても子どもを公園で遊ばせたあとはぐったり疲れて寝てしまった。もちろんわたしが社長の法人の収入は減る一方。

日本という社会はもう本当にあり得ないほどおかしい気がするんだが、案外それでも、特に未婚の若い世代は幸せ満足度が高いという統計もある。

パラサイトシングルの連中だ。パラサイトシングルなら、アゴアシマクラは全部親持ちだから働いた分は全部自分の遊びに使える。まったくもって満たされていて、幸せいっぱいだろう。

まあ、それも40代、50代になれば、(現状のこの世代の満足度が相対的にはかなり低いことからも明らかなように)だんだん不幸になっていく。

とにかく、いえることは、誰ひとり、この国で、結婚して子どもを持って長期的に幸せに暮らしていくことについて、真剣に考えていない。もちろん、独り身が寂しくどんどん黄昏れていくことについては、もっと誰も考えていない。

文明が確かに、地球の歴史から見れば一瞬だといえばそうだが、そろそろ、いろいろとちゃんとしないとまずい気がする。

こういうことを書くと、既得権益層(もちろん中高年の男性正社員とか自民党支持する地方経営者など)はキレるらしい。自分の年金を減らされたり、資産に課税されたりしたらすごいイヤだし、それにいままで「戦後のゆたかさを築いてきた」※ものを否定されると感じるからである。ご愁傷様。その後の世代はあんたらが死んで年金がとだえたら、生活保護に殺到する未来しかないんだが?

※連中=既得権益層は戦後の繁栄を自分たちで「築いてきた」とよくいうが間違っている。単にベビーブームで人口が多かっただけで、人口が多ければ需要が増えるので経済成長する、経済成長すれば豊かになる。いまは人口が減る局面なので低成長になり、貧しくなる。こうしたメカニズムのどこに、「日本を築いてきたのは俺たちだ、ドヤッ」などとプライドをおけるのか? 勘違いも甚だしい。

2017年4月15日土曜日

利他主義的動機付けの優位性

なぜ、保守政治家は家族家族というのか。科学的知見からはじつは結構合理的。 人は、人の前はサルだった。サルはその場で果物だとかをシェアして終わるが、人間は、なにか見つけると、遠い距離を運んだ。その先に家族や仲間が待っているからだ。 特別な動機付けの訓練を受けていないのなら、人はすぐ「ま、いっか」となって目標の遂行を投げ出して楽に流れる。しかし、家族や仲間を利するための行動(利他的行動)ならば、勝手にま、いっかとはならない。どんなにつらくても、家族や仲間が困るだろうから自分勝手な都合で簡単には投げ出せない。 いまひとり暮らしの人が増えている。生涯未婚率が上がっている。恋人を作るのもおっくうでやらない。そういう人たちの多くは中年になれば、なんのために努力すればいいのか分からなくなってしまうだろう。困難な目標を遂行する気はもとより、日々のごく些細なこと、たとえば次の月曜日は資源ゴミの日だから読み終わった本をひもで縛って収集場所へ出すといったことも次第にできなくなる。行動と結果の影響がすべて自分だけに完結となれば、やーめたって言って日々最低限の欲求を満たすだけの人生に堕するだろう。 私なんてまさにそうなりそうである。愚痴やぼやきばかりだがそうなっていないのは家族=債務があるからこそ、起きて仕事する。家族がなければ三年寝太郎になってる。家族がいるからこそ、ぜったいやりたくない掃除もすれば、税務申告もするし接客もチラシ配りもする。 こんなの自分のためだったら絶対やっていない、アホらしいしやる気もない。しかし家族が困るとなればまあ、やるかとなる。 結婚していない、ひとり暮らしの知人が何人かいる。中年期にさしかかり、多くは没交渉となったが、一部近況が分かる人のケースでは、たいてい部屋は汚部屋化している。太って、喫煙飲酒癖があり、仕事への熱意は一切ない。しかしその姿はまったく自然で、普通なことであり、私も家族がなければそうなるに違いない。そして最後は必ず医療や介護、ひいては年金や生活保護の世話になる。それらは社会保障給付という。 というわけで、保守政治家が家族家族と騒ぐ理由だが、結局結婚して家族(アドラー心理学的に言うと家族ではなくても、仲間、あるいは利他的行動の対象となる何でもよい)を持たないひとりもんは、へたれで自暴自棄となり、社会保障の世話になるリスクが高まるということに尽きそうだ。 別に愛国でどうのこうのというのは違うと思う。そんなのなんの関係もない。実際のところは社会保障費が毎年1兆円ずつ増えて国家破たんしそうだから、何とか家族をもってもらって、各自いつまでも家族のために健康で元気に長生きしてほしいと、そういうことなのだろう。 しかし問題は、その同じ政府が一方で、正社員の残業は月100時間までとか言っていることだろう。月100時間働いて、しかも家族のために家事育児もやれって?死ぬぞ。そんなんでは家族のためになにかできるわけがない。絆だの郷土愛だのはなおさら不可能だ。家族を犠牲にして仕事しろって言っているようなものだ。それじゃ家族を持った意味はない。政府は矛盾している。 家族のために働くというのは、私はあくまで、家事育児をしろという意味だと考えている、つまり男性配偶者が家族のために時間を直接的に使うことなしに、家族を利することはできない。単に外で働いて金を稼ぐだけでは、ATMなどと言われ、定年後は離婚を余儀なくされる昭和のパターンである。女性配偶者は、毎晩帰りが遅く、子育て育児を当然のようにしない男性配偶者のことをよく観察している。 政府は憲法を変えてまで家族家族と騒ぎたいんだったら、経営者を罰則付きで法律で縛って、社員を夕方5時には家路につかせる必要がある。たぶんそうなると経営者団体は騒ぐ。日本の国の成長はもういいのか、と政治家を脅す。成長がなくなれば、大量の高齢者の世話もなにもできなくなり、再分配(増税)の圧力が高まる。そうすると連中は資産を取られたくないから、もっと政治家を脅す。 ここで注意したいことがある。自分のためよりも他人のためのほうが動機付けが強くなるというアドラー心理学の法則は、自然人にのみ通用するのであり、法人には一切無効である。かわいそうな従業員は、他人=法人(経営者や創業株主など)のために熱心に仕事をして、家族や自分自身の健康は犠牲にしがちである。しかし、法人は、あくまで自分のことしか考えない。自分の存続以外のこと以外は一切考えない。そういうふうにできている。 それでもあなたは、家族主義をうたう自民党を支持するのか。会社のために働き家族を犠牲にするのはやむを得ないといえるのか。 たくさんの人に、このことに気がついてもらいたい。

2017年4月5日水曜日

日本最大の問題、それは世代間の偏り

ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏のブログの「平等に貧しくなろう」という上野千鶴子氏の意見の正しさについてを読んでください。

私もFPとして前々から日本の大問題は世代間の富の偏在、具体的には高齢者にばかり富が集まって若者は制度的に搾取される一方であるという点です。

このブログのタイトル画像の背景にもしているほどです。

日本はもちろん、憲法で財産権は基本的人権のひとつとして尊重されるべきものになっています。年金だって、長年はたらいてきた高齢者たちからすれば、「積み立ててきた自分の財産」(本当は賦課方式なので、積み立ててきたのではなく、いまの現役世代からもらっているに過ぎない)なのだから、これを取り上げたり減らすなどあり得ないと思っているのは自然です。制度を法律で作る政治家たちも高齢者から選ばれているため、年金をばっさり減らしたり、高齢者の資産を若者に再分配するなどというのは思いも寄らないことでしょう。

しかしこの状況こそ若者が圧倒的に搾取されている構造なのです。

税収のメインは所得税、法人税、消費税であり、いずれも現役世代の労働の付加価値に対して課せられる税金です(消費税は支出ですが支出は当然現役世代の方が大きいのです)。

高齢者は日本の金融資産1700兆円の過半数を持っているとされています。こうした金融資産への課税はたとえば相続税等ですが、国の税収の柱とはとうていいえません。

税制から見ても、数が減る一方の若者の労働から、増える一方の高齢者に一律支払われる年金や医療費でどんどん吸い上げられている構図です。

私はこれは、政治家も、(もはや高齢者しか購読しなくなった)新聞メディアも、もちろん忖度に夢中な官僚も、つまり日本のメインの権力者たちにとっては不都合な真実なので、話題として積極的に語りません。

しかし、だからこそ私は声を大にしていいたいです。

若い人が、子どもを産み育てやすい社会構造に転換しないと、たいへんなことになると。

いま、日本で子育てしようとしたら、それも働いて得る収入で子どもを育てようとしたら、本当にたいへんです。国は増え続ける高齢者向けの社会保障費で、子育て世帯への再分配は構造的に、つねに及び腰です(前述の通り)。待機児童も、毎年毎年解決される見通しはありません。地方自治体の議員たちは、待機児童など問題としてみていません。やる気がないのです。本当に。

その結果、週のうち一日は高齢者の年金や社会保障費に取られてしまい、残りは住宅費(これまた高齢者がオーナーの賃貸物件だったりする)と食費となぜか高騰する大学授業料のための積み立てなどに消え、貯金をする余裕はありません。しかも、働くっていったって、子どもがいる場合は誰が面倒を見るのでしょうか?保育園はいっぱいで預け先もないというのに?

若者ばかりを搾取するいまの税と社会保障の構造を放置してはいけないと思います。

このまま行くと日本はどうなるか? ハードランディングです。それは、この若者搾取型の社会構造がなにかの拍子に経済に悪影響を及ぼしはじめることからはじまるでしょう。国債の金利や円の価値に悪影響をもたらし、失業者が激増。当然、若者の労働からかすめ取っていた年金制度も破たんします。生活保護受給者が激増して地方財政も相次いで破たん。最後は暴徒化した若者によって内戦が起こり、たくさんの死傷者が出る事態です。

円が大暴落しますから、当然インフレに陥ります。インフレになれば、高齢者がため込んでいた円建て資産は紙くず同然。

こうした事態で唯一笑いが止まらなくなる身分の人がいます。それは誰だと思いますか。財務省の官僚でしょう。円の価値が暴落していちばん得をするのは、国債の債務者、つまり日本政府なのです。借金がほとんどゼロになってしまうのです。

そうなったら彼らは得意の英語でも何でも使って海外に引っ越してしまうかもしれません。

私は人間なんて、まったく不完全で、犬や猿と変わらない知性しか働かせていないのがほとんどだと思います。私だって寝たり飯を食ってなにもしないで暮らしていくのがいちばんだとおもっているのです。

いや、人間は合理的で、知的で、それ故文明もここまで発展してきた、それはもちろんそうですが、じゃあ、あなたはどんな貢献をしているんですか。私はしていませんが?その文明に。文明に貢献するような人間なんて滅多にいません。ニーチェが言う超人はいないんです。だから哲学者がテーマにするんです。

月が地球にぶつかった隕石から生まれて、はじめてこの地球に四季が生まれ、穏やかな自然のもとで生命が誕生しました。イヤだから、なにかを敬えとか、かけがえない地球だ大切にとか、四季折々の美しさをどうのこうのと上から目線の陳腐な説教をいうのではもちろんありません。そうじゃなくて、むしろ逆。人間の存在、地球の存在、まったくもってこれまぐれで、ほとんど「事故」の結果に過ぎないっていいたいです。おまけに地球という星ひとつとったって、星の数がいまこの宇宙で分かっているだけでもう単位をあらわす漢字が見たこともないほどの数だというんです。かけがえのない地球なんて大嘘で、いくらでもあっておかしくない、単に見えていないだけなんです。

とにかくすべてはまったく偶然だということです。じつはほとんどアノミー状態なのがあたり前で、なんの理由も必然も運命もない。宇宙の、ちょっとした奇跡、揺らぎのなかで、ふと生まれてきたのが人類なのです。

もはや破たんが自明の社会制度を直視できないで、現状維持にきゅうきゅうとする高齢者や若者。保守的で排外主義的な書籍や言説にカタルシスを得る大人たち。

そういう人たちは、ためしに、35億年ほど前のこの宇宙の大スペクトラムに思いをはせてみてはどうでしょうか? 年金の破たんなんてそれにくらべたら、っておおらかな気持ちになりませんか?